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走れ中村

  • 2014年6月8日
  • 読了時間: 2分

中村は激怒した。

必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

中村には政治がわからぬ。

けれどもサークル運営に対しては、人一倍に敏感であった。

きょう未明中村は家を出発し、野を超え山越え、此の京大総合体育館にやって来た。

歩いているうちに中村は、体育館の様子を怪しく思った。

ひっそりしている。

授業のせいばかりではなく、体育館一体が、やけに寂しい。

のんきな中村も、だんだん不安になって来た。

路で逢った青木をつかまえて、何かあったのか、一年まえに来たときは、夜でも皆が歌をうたって、ルネは賑やかであった筈だが、と質問した。

青木は、首を振って答えなかった。

しばらく歩いて彦坂に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。

彦坂は答えなかった。

中村は両手で彦坂のからだをゆすぶって質問を重ねた。

彦坂は、あたりをはばかり低声で、わずか答えた。

「藤井様は、バドミントンで会員をボコります。」

「なぜボコるのだ。」

「気合が足らない、というのですが、誰もそんな、藤井様に勝てるような実力を持っては居りませぬ。」

「たくさんの会員をボコったのか。」

「はい。はじめはスタッフを。それから、2女を。それから新入生を。それから、3回生を。それから、4回生以上を。それから、OBOGの方を。」

「おどろいた、藤井は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。自分よりバドが弱い者には制裁を加えるのです。」

聞いて、中村は激怒した。

「呆れた会長だ。生かして置けぬ。」

~つづく~


 
 
 

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